地球未来塾【宇宙】山崎直子氏(宇宙飛行士)7/30開催レポート

2016.08.03

人はなぜ宇宙に行くのか?

地球未来塾【宇宙】山崎直子(宇宙飛行士)

7月30日に開かれた「地球未来塾」第一回目のゲストは、宇宙飛行士の山崎直子さん。「宇宙で3cm背が伸びた!」「宇宙ステーションではあんなものまで再利用!」など、おどろきと発見がいっぱいのお話に、参加したこどもも大人もワクワク。そんな当日の様子をレポートします。

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「宇宙からの目」でリアルタイムの地球を見てみよう!

満席となった会場にまず登場したのは、モデレーターの竹村真一(地球ミュージアム主宰)。さっそく「触れる地球」でリアルタイムの地球を動かしながらクイズがスタート!世界の人口の変化や、黒潮に乗るマグロの群れ、ホッキョクグマから見る北極の変化などが、次々と立体的に浮かび上がります。

 

竹村「いまの地球をリアルタイムで触れる、知れる、こんな地球儀が全学校にあってもいい。むしろ、それが今の世代には普通じゃないかと思うんです。」

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「触れる地球」からは、どんどん変化している地球の歴史と今が見えてきます。そして、地球とそこに暮らす生き物の不思議なつながりも。

 

竹村「紫外線から見えないベールで私たちを守ってくれるオゾン層を作ったのは、じつは海の中にいた植物などの『生物』です。豊かな地球を作ってきたのは、そして進化させてきたのは『生物』であること。それがいちばん大切なことです。さあ、人間もそんな地球を進化させられる『生物』になれるでしょうか。もしかしたら、もっと地球を豊かにできるすごい力を持っているかもしれません。そんなワクワクするお話を、今日は山崎さんとしたいと思います。」

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地球のことを話そう!

大きな拍手に迎えられて、宇宙飛行士・山崎直子さんが登場。「触れる地球」にも親しんでいるという山崎さんが、やさしく地球に触れながらお話をはじめます。

 

山崎「お星さまのことを説明する人はたくさんいるけれど、地球のことを説明する人はあんまりいませんね。今日はみなさんに、もっと地球にも興味を持ってもらえたらと思います。」

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山崎さんがスクリーンに映し出したのは、宇宙で撮られたたくさんの美しい地球の写真。それを見ながら、みんなでまたもやクイズに挑戦です。宇宙ステーションってどのくらいの大きさ?地球からどのくらいの距離を飛んでいるの?こどもも大人も一生懸命に考えるうちに、もっと地球のことが知りたくなってきました。

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宇宙では背が伸びる!?重力のお話

さて、山崎さんは宇宙ステーションでどんな生活を送っていたのでしょうか?

 

山崎「宇宙では重力がなくて、人によって上も下もバラバラ。では、どうやって会話の中で指示を出すのでしょうか?そんな時には、『あなたの上』『あなた下』と言います。宇宙では相手の立場に立って考えてみないと、会話ができないんです。」

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山崎「宇宙に行くと高さの感覚なんかもなくなっちゃいます。宇宙の中にみんな同じように浮かんでいるんだなーと感じるんですよ。宇宙から見る地球も、上も下もありません。地図を見る時にいかにいつも上下にとらわれて見ているかを実感します。」

 

重力がなくなると、変わってくることは他にもあるようです。

 

山崎「私は宇宙に行って、3cm背が伸びました!それは、重力で背骨が押されないので、その分だけ伸びているからです。それから、体のなかの水が下に行かないので、顔はむくんで丸くなって…なんだか宇宙人の絵みたいですよね。地球に戻っていくるとまたもとに戻りますよ。」

 

 

おしっこもキレイにリサイクル!?水のお話

宇宙ステーションでのくらしでは、さらにびっくりするようなお話も。

 

山崎「地球の大きさで考えてみると、地球上の水を全部集めてもピンポン玉くらいの大きさにしかなりません。それを世界中の70億人で分け合っていると思うと、とても貴重ですよね。宇宙ステーションの中では、水はさらに大切です。おしっこでさえも貴重なので、キレイに浄化して飲み水に変えて、みんなで分け合っています。」

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このことには会場のみんなもびっくり!宇宙の中でも液体の水がある地球は、本当にめずらしく、いかにありがたいことかがよく分かるエピソードでした。

 

 

どうして星はまたたくの?空気と光のお話

次に見せてくれた地球の写真をよく見ると、薄い虹色の光が地球をおおっていることがわかります。

 

山崎「これは空気の層です。とても薄く見えるその下で、私たちが生きているんですね。星がチカチカまたたくのも、この空気の層にぶつかっているからです。宇宙ではプラネタリウムのように、星の光は揺らがずにはっきりと見えますよ。」

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山崎「太陽の光があっても、宇宙空間は真っ暗なままです。それを見ると、太陽だってたくさんある宇宙の星のひとつ。その太陽と地球がいかにありがたいバランスでいるかを思うと、この星をより良く受け継いでいかなければならないと感じます。」

 

 

動き続けないと変化できない

最後に山崎さんが紹介したのは、アメリカの宇宙飛行士John Youngの言葉。

「Risky to change. Riskier not to change.

(変わることにはリスクが伴う。変わらないことにはより大きなリスクが伴う。)」

 

山崎「動き続けないと変化することはできません。ぜひ、変わっていくことをおそれないでほしいです。私たちに分かっていることはまだ少ないですが、だからこそ、いろんなことを想像して知ろうとできます。ヒトはまだ月までしか行ったことがないけど、みなさんが大人になるころには火星くらいには行けるようになるかもしれません。いずれは、銀河系の景色だって見られるかも。みなさんも時々空を見て、地球のことを考えてみてくださいね。」

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宇宙の話?いや、これは「私たちの話」です

再び登場した竹村さん。山崎さんとの宇宙トークはさらに続きます。

 

竹村「本当に素晴らしいお話でした。さて、今のは『宇宙』のお話でしょうか?そう、『宇宙』の話であると同時に、じつは『みなさん自身』の話なんです。私たちは人類史上はじめて、自分たちのことを『宇宙人』なんだと知った世代。この地球自体が大きな『宇宙船地球号』です。宇宙にその縮図である宇宙ステーションを作ることで、いかに地球がありがたい星かがもっとわかってきますよね。」

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山崎「本当にそう思います。また、地球生命体は重力の下で縛られています。重力がなくなると、実はもっと変化するポテンシャルを持っているのかもしれませんね。」

 

竹村「よく突然変異と言いますが、それは生き物が環境に適応して生き延びようとしているんですよね。」

 

山崎「陸にいたカバが海に入ってクジラになった、なんていう説も驚きです。そこまで大きく進化するなんて。」

 

竹村「それだけ生き物は長い時間をかけて進化していくんですね。一方、人間は他の動物とはちょっと違う進化のしかたです。自然の何倍もの大きな力を手に入れて、ガリバー化しています。そこから、地球温暖化問題も出てきました。」

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竹村「人間は一人ひとり大量のCO2を排出している。けれど、そのことに気づき、地球の体調を心配して『見える化』するという、すごいことも同時にやっています。とてつもない可能性を持っているんです。たとえば、中国は世界一の原発大国ですが、同時に風力発電でも近年同じくらいの電力を生んでいます。風力は原発には勝てないという今までの考えは変わろうとしている。このことは大きな希望です。」

宇宙船ではどうやって寝るの?質問コーナー

さて、質問コーナーになると、会場のこどもたちからは「宇宙でデッカくなるのがびっくりした!」という感想や、こんな山崎さんへの質問が飛び出てきました。

 

Q.「宇宙飛行士以外に宇宙の仕事はどんなものがありますか?」

 

A.「地上で指示を出す人、法律の専門家、宇宙服を作る人、宇宙食を作る人、生物の研究者などなど、宇宙に関わっている人は意外とたくさんいます。宇宙にはいろんな切り口があるので、広い目をもって見てみてくださいね。」

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Q.「(宇宙ステーションでは)どこで寝るんですか?」

 

A.「寝袋をプカプカしないようにマジックテープで船体にくっつけて寝ています。無重力なので、床じゃなくても壁などでも寝られるから、狭い船内でも意外と広く使えますよ。」

 

 

『地球バージョン2.0』を作れる時代

どんどん広がる宇宙トークも終盤に差し掛かり、地球と人類の未来についての話になりました。

 

山崎「今、ロケットじゃなくてエレベーターでもっと気軽に宇宙に行く計画もありますね。それに有効なカーボンナノチューブという軽い素材は日本が作っています。」

 

竹村「火星に住める日も近いかもしれませんね。他の星を地球と同じような緑と水にあふれた星にする、宇宙の中で地球の『生命OS』を広げようというすごい実験を人間はしています。そうなると、生物が地球を進化せてきたように、人間が『地球バージョン2.0』を作れるかも。みんなはそんなおもしろい時代に生きているんです。」

 

山崎「地球でどう最初の生命が生まれのかは、まだわかっていません。宇宙から生命の種が飛んできたのかもしれないという説もあります。宇宙と地球は思った以上につながっているのかも知れませんね。」

 

竹村「今日はちょっとむずかしい話もあったかもしれませんが、きっと小さい子もいつか今日の話を思い出すことがあると思います。宇宙の話から、我々の未来が見えてくるようなお話でした。みなさん、今日はありがとうございました。」

 

宇宙のこと、地球のこと、私たちのことを、参加者の皆さんとたくさん考えたあっという間の1時間半でした。

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