CPV地球価値創造フォーラムCreating Planetary Value第1回 6/19 國本 裕氏×為末 大氏×竹村 真一

2014/06/19

第1回 CPV地球価値創造フォーラム Creating Planetary Value

6月19日(金)17:00〜20:00

 

ゲスト

國本 裕氏(味の素株式会社 代表取締役 副社長執行役員)

為末 大氏(アスリート)

 

モデレータ

竹村真一(「触れる地球ミュージアム」主宰/ELP代表/京都造形芸術大学教授)

 

 

『地球食とアスリートによる地球価値創造』

 

第一回目のCPVフォーラムのテーマは、「地球食とアスリートによる地球価値創造」。「いのちのために働く」というスローガンのもと、アフリカ諸国での栄養改善事業、主力商品「本だし」の資源であるカツオの太平洋上での自然資本調査、アミノ酸発酵工場の残渣栄養物を地域の生態系や農業振興にリサイクルする「コプロ事業」など、地球と人類のサステナビリティに貢献する活動を続けている「味の素株式会社」副社長の國本裕氏と、陸上界で活躍した日本のトップアスリートの為末大氏をゲストに招き、世界の人々の感性と食文化を育ててゆく人間開発や文化創造などについて語っていただきました。

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企業の技術、人、経験、すべてが地球価値創造の資源

竹村はイントロダクションで、「地球の食の問題が非常にクローズアップされてきている中、食の問題を解決する鍵はすでにたくさんある」と切り出し、味の素社による「うまみ文化」を通した「人間開発」「文化創造」といった食のアプローチについて、「今までの未熟な文明を超えて次にジャンプするチャンス」と讃えました。
竹村は「日本企業が持っている技術や人の力、社員の経験資源を含めて、すべては地球価値創造の資源」との考えを示したうえで、「どういうふうに地球的な問題解決に日本企業が貢献していけるかを、しっかりディスカッションし、企業の目線をもっとブロードバンド化し、企業の業態に関する想像力もブロードバンド化する」と、オールジャパンで地球的問題を解決していくことの必要性を主張。そのときにはCreating Shared Valueよりも、さらに大きなコンセプトとしてこのフォーラムの趣旨にも通ずる「creative planetary value(CPV)」が求められているとの考えを示しました。

IMG_6421▲竹村真一

 

國本氏は、味の素社の事業内容などを説明したほか、「地球的な視野に立ち、“食”と“健康”そして“いのち”のために働き、明日のよりよい生活に貢献する」といったグループ理念を紹介。そのうえで、「21世紀の地球課題を解決する」といった基本的なバックグラウンドを実現するために取り組んでいる「地球の持続性」「食資源」「健康な生活」の3つの課題を提示。世界的な人口増や温暖化に相まった食の必要資源の増加、肥満の増加などに触れ、「日本でいま課題だと言われている部分は、世界の共通課題であり、そうした課題にきちんと対応を図っていけばグローバルな展開にも通じるだろう」と語りました。

IMG_6405▲國本裕氏

また、國本氏は、2014年から新たに、CSV、ASV(“味の素グループ・シェアード・ヴァリュー”)に取り組み、社会に貢献することが事業にも貢献すると同時に、事業を拡大することが社会に貢献するという相互一体となったR&D、グローバル展開を進めていることを紹介。たとえばガーナでは、NGO、国連機関、ガーナ大学と共同で、タンパク質、あるいは、アミノ酸を加えることによって栄養価をあげたコーンを乳幼児に飲ませ、栄養の改善につなげようと研究を進めているほか、過剰栄養に対する研究、インドネシアやバングラディッシュ、ペルーなどで母子を対象にした食育活動などの取組みなどを展開。また、効率的に少量の飼料で多くの肉を得るための研究開発、コプロ(Co-Product)や籾殻などを活用したバイオサイクルの取組み、藻から抽出した油を発酵の原料にする取組みなどについても説明しました。

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■アスリートの経験資源が社会的に有効活用される仕組みづくりを

そして、國本氏、為末氏、竹村の鼎談へ。冒頭で竹村は、「人間という地球資本を最大化するモチベーションにおいて、味の素さんと為末さんは共通する」と、両者をお招きした理由について言及。味の素社については、「地球食をプロデュースしながら人間の可能性を最大化し、地球環境を良くしていく活動をされている。我々がこれからどのような形で価値創造をしていくのか、グローバル企業としてどういう姿勢を持っていくのかという時に、非常に重要なヒントが活動に含まれている」と評価。一方で、為末氏のようなスポーツ選手については、「10年20年かけて育てられているし、本人も人生をかけて大変な経験資源を蓄積している」と敬意を表したうえで、引退後の選手について「クオリティライフを維持しながら長い人生でクリエイティブにやっていくとなると、スポーツというOSは若い青年を育てる以上に、ライフタイムで継続的に人生の可能性を引き出すOSとして必要とされているはず」と言い、アスリートの経験資源を社会的に有効活用される回路をつくる必要性を示しました。

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為末氏は自身の選手時代の体験をもとに、新しい地球のありようについて、オリンピックやパラリンピックが貢献できる可能性について言及。選手村で北朝鮮の選手が食事している様子を見て、「こういうことが紛争解決の可能性に繋がるのではないかと思った」「日本だからこそ提示できる価値観をオリンピックの中に植えてほしい」と語りました。具体例として、為末氏は「東京オリンピックを契機に、パラリンピアンがどこでも動けるように都市をバリアフリーに変えていく」「都市で何割かはエネルギーを回せるといったコンセプトを実現する」と提案。「その器が次の開催地にぐるぐると回っていき、結果として世界中が同じようになっていく」と希望を語りました。また、世界中が高齢化の問題を抱えていることにも言及。「日本は、高齢化という課題の先進国ですから、その課題を解決するモデルとして、課題に適応した都市計画のいいフックになっていくという可能性もあるのでは」と語り、オリンピックやパラリンピックが持ち得る役目について期待を寄せました。

IMG_6366▲為末大氏

■食におけるトレンドセッターでもあるアスリートの役割

高齢者とアスリートの共通点についてユニークな視点を紹介したのは國本氏。自社の商品である、「アミノバイタル」の開発について触れ、「アスリートはハードなトレーニングを繰り返しできるかどうかがパフォーマンスをあげる一つの大きな要因。ということは早くからだを回復させるということがベースにあるはずで、それは高齢者も同じであろうと。アスリートが積み上げてやってきたことがひょっとしたら他の人にも通じるかもしれない」。
これを受けて為末氏は、「アスリートたちは、かなり疲労困憊なところまでトレーニングをするので、何が効くか効かないかというのは非常に敏感」「からだを使っている人間は良いものが理解しやすいのかも。そういう意味では、アスリートのからだはセンサーなのではないか」と語りました。
「アスリートは経験資源の塊であると同時に、センサーでもあり、トレンドセッターでもある」と竹村。「アスリートたちがどんな食生活をし、それをどんな形で世界に広げていくか、という役割は大きい」と言います。

■日本食は地球貢献食

そうしたアスリートの代表である為末氏は、アメリカに滞在時していたときの経験をもとに、日本人の味覚が出汁によって形成されてきたことが体形維持などに寄与していると話し、「もし油っこいものが好きな舌に育っていたら、日々我慢することでしかカロリーを押さえきれない。そう考えると、どんな舌を持って育っていくかということが、その後の将来のコストにかかっていくのではないか」。これを受けて、竹村は「日本食が育てる味覚や旨味文化、これが実は地球の未来食OSになりうる。そうした視点で世界に広げていくことも素晴らしい地球貢献になる」と日本食の可能性について語りました。 また、竹村はさまざまな機能を持ったロボット開発について触れ、「人間にしかできないことはトータリティ、総合性。味覚は身体値から来ているもので、ものすごく豊かな経験資源の回路が私たちの舌や歯や、からだ全体にある。そういう部分から出発する新しい人間観が未来を開いて行くのではないか」と語り、スポーツ界と食の産業をつなぐ価値創造の試みを展開していくと明言しました。

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 ▲右から デフタパートナーズグループ代表・アライアンスフォーラム財団代表理事 原丈人氏   元環境大臣 広中和歌子氏   株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役 足立直樹氏

 

 

▼國本裕氏プロフィール(味の素(株)Webより)

http://www.ajinomoto.com/jp/aboutus/data/officers.html

 ▼為末大氏プロフィール(アスリートソサイェティWebより)

http://www.athletesociety.org/tamesue/profile

 

 

 

 


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